たまに芸人さんとかが「このVTR撮って出しだからさ」とか言ってるのを聞いたことはないですか?
撮って出すのはそのまま撮って出すわけですが、それはすべてのVTRが撮って出しになってしまいます。違いが何なのか解説します。
そもそもノーマルなVTRの制作って?
テレビは生放送のスタジオや中継以外はVTRで構成されています。
このVTRを作る作業というのは、おそらく皆さんの想像以上の時間がかかっています。
例えば3時間のバラエティ番組の特番があるとします。
少なくとも10人が関わります
多いと30人ほどです。
少なくとも3ヶ月はかかっています。
こだわりにこだわり抜いたNHKとかになると1年以上かけたりします。
自然を撮るとかになると、もう目処が見えないですから本当に尊敬します。
ただ最初の1ヶ月は会議だけで特に撮影はしません。
その後1ヶ月程度でロケ
最後の1ヶ月が編集です。
ただひどい番組だと6週ほどで作ってたりもします。
地獄のスケジュールです。
けっこうかかります。
オフラインというディレクターがMacなどでつなぐ編集に2日ほど
オンラインというポスプロと呼ばれる編集室での本編集に1日。
その後プレビューなどで直して、直して2日ほどかかっています。
これが3時間の番組となると編集に2週間ほどかかります。
ここで恐ろしいのは1日8時間労働ではございません。
1日20時間労働のイメージです。
睡眠時間はありません。
最近は働き方改革でADさんは比較的休めるようになってきましたが、ディレクターの仕事は増えるばかりです。
では、ここから撮って出しです
”撮って出し”は”すぐに出す”
そうです、すぐに出すんです。
バラエティ番組だと収録してから3日〜5日後に放送するのが撮って出しです。
とんでもなく急ぎの作業になるので、テロップを少なくしたり、1カットを長くしたり、それなりに雑になっています。
もちろん1日24時間労働になります。
見る人が見れば「あ、撮って出し」ってわかります。
ニュース番組はもっとすごい
そもそもニュース番組は当日取材して当日編集して出しています。
毎日が撮って出しなので、とてもシステマティックになっているのですが、この世界にも撮って出しがあります。
ニュースの撮って出しだと10分で編集するという神業になります。
普通に見ているとお気づきにならないと思いますが、いや気づかれたらダメなんですが、ニュースのVTRが5分のものがあったとすると、2分、2分、1分とかにテープを(最近ならファイルを)分けて編集していて、最初の2分を放送している時に最後の1分が編集中なんてことはけっこうザラにあることです。
まれに、ごくごくまれにニュースキャスターが「VTRが間に合っていないようですね」っていうことがありますが、本当に間に合わなかったということです。