選挙の夜、投票が締め切られた午後8時ちょうどに、開票率0%で「当選確実」が出る。不思議に思ったことはありませんか?
実は選挙は、投票が終わる前にある程度、勝負がついていることが多いのです。その裏にあるのが「出口調査」と「情勢分析」。テレビ局の中から見た、選挙報道の裏側を解説します。
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出口調査とは?投票所の前で何を聞いているのか
出口調査とは、その名の通り「出口」で待って調査することです。待っている場所は投票所の前。投票を終えた人に、調査員が
- 「比例はどこに入れましたか?」
- 「誰に投票しましたか?」
と聞き取りをします。
これは投票日だけではありません。期日前投票でも出口調査はしています。こうしてある程度のサンプルを集め、どこが優勢かを判断します。統計学の考え方で、ある程度のサンプリングができれば全体像をはじき出すことは可能なのです。
出口調査には膨大な人手がかかる
この出口調査、めちゃくちゃ人手がかかります。もちろん全ての投票所に人を配置するわけにはいきませんが、立候補する人は選挙区ごとに違うので、調査員は全選挙区にいます。求人サイトを見ると、アルバイトの募集もしています。一度やってみたいバイトではあります。
ちなみに、テレビ局はNHKと民放がそれぞれ独自に調査員を派遣していて、データを共有することはありません。
なぜかというと、当確を出すのは各テレビ局の政治部が、メンツをかけてやっていることだからです。どの局よりも早く、正確な当確を出すことにしのぎを削っています。そのために、みんな独自に調査をしているのです。
実は出口調査より大切な「情勢分析」

テレビ局や新聞社は、選挙前にアンケート調査などで情勢分析をしています。これが実に正確で、けっこうそのまま選挙結果になります。
公示日(投票のおよそ2週間前)の時点で、候補者ごとに当選の可能性を「A」「B」などと判定しています。政党には支持母体などによる基礎票がありますし、そこに今の風(無党派層の動き)を加味し、アンケートで調整していきます。
びっくりするくらい当たっていますよ。「これって私が投票する意味あるのかな」と考えてしまうくらい正確だったりします。
情勢分析は自民党のお家芸
この情勢分析が最も優れているのは自民党だと言われています。私も実際に見たことはありませんが、情勢分析が正確だからこそ選挙に強い、と言われています。長年選挙を戦ってきたノウハウが詰まっているのでしょう。
「激戦区」は本当に激戦区
ニュースでよく「激戦区の〇〇1区です」と紹介されますが、あれは本当に激戦区です。情勢分析をして、出口調査をしても僅差になっているところで、本当にフタを開けてみないとどう転ぶかわかりません。
勝てるところは放っておいても勝つので、各党はこの激戦区に有名な政治家を応援演説に入れます。党首や人気の議員が演説している選挙区は、激戦区か、ちょっと劣勢なんだな――そう思って見ると、選挙も楽しくなるのではないでしょうか。
開票0%で当確が出るのはなぜ?
逆に、勝負がもう見えていて、どう転がってもこの人が勝つという情勢であれば、開票率0%、午後8時ちょうどに当確が出ます。事前の情勢分析と出口調査だけで、結果がほぼ確実に分かっているからです。
つまり、午後8時に当確が出る人は選挙に強い人。スキャンダルでもない限り、次も当選する人です。
見どころは午後8時の「議席予測」
NHKと民放各局は、投票が締め切られる午後8時に、一斉に議席予測を発表します。それまで各局が積み上げてきた情勢分析が、ここで初めてお披露目となります。
なぜ事前に公表できないかというと、投票する人の行動にとても大きな影響を与えるので、投票が締め切られるまでは出せないのです。選挙報道には、それだけたくさんの縛りがあります。
午後8時は「ザッピング」がおすすめ
この午後8時は、なるべく全局を見てください。みんな微妙に数字が違うんです。NHKではこの政党が勝っているのに、別の局では負けているぞ、といった具合に、各局がプライドをかけた予測を見比べられるのがこの時間です。
そのあと開票が進むと、予測は徐々に修正されていきます。だからこそ、この「生の予測」が選挙特番の一番の面白さです。
テレビ局側もそのことは熟知していて、予算不足と言われる中でも、この時間の演出やCGにはお金をかけて作っています。なにせ報道局の威信がかかっていますからね。そこも見どころです。
「当確」は誰がどうやって決めている?
開票の途中でテレビ局が速報を打つ「当確」。実はこれに明確な決まりはなく、政治部の記者が情勢分析と開票状況から「よし、決まりだ!」と判断して出しています。最終的には人の判断なんですね。
記者としての力量が問われるので、当確を出すのはベテランの記者。だいたい役職のついた人がやっていたりします。
どこよりも早く出したいのが報道機関の性ですが、間違えるわけにはいきません。当確を出すときはドキドキものだそうです。迷っている間に他局に先を越された、なんてこともしょっちゅうあります。それでも、やはり間違いの当確は出てしまうことがあります。それをゼロにするために、日々調査を重ねているのです。
候補者の「万歳」もテレビの当確が目安

選挙の風物詩、万歳三唱。実はこの万歳をするタイミングの目安も、テレビ局の当確です。各社が当確を打ったのを見て、勝利宣言をして万歳をする、という流れです。
数社が当確を出した時点で勝利宣言をする人もいれば、「全社が打つまで万歳しないぞ」という先生もいます。
まとめ:選挙特番は「答え合わせ」を楽しむ番組
- 出口調査は投票日だけでなく、期日前投票でも行われている
- 本当に大事なのは選挙前の「情勢分析」。かなり正確に当たる
- 開票0%での当確は、情勢分析と出口調査で勝負が見えているから
- 午後8時の議席予測は局ごとに違う。見比べるのが一番面白い
- 当確はベテラン記者の判断。候補者の万歳もそれが目安
私も昔は、選挙の日はテレビがつまらないのでレンタルビデオを借りていました。でも仕組みを知ってみると、選挙特番はかなり面白い番組です。ぜひ一票を投じたうえで、その後の行方をテレビで見比べてみてください。
